セラミック治療でよくあるトラブルと失敗しないためのポイント

「銀歯が目立つのが気になる」「自然な口元にしたい」
そんな思いからセラミック治療を検討される方が増えています。
セラミックは白く透明感のある見た目が魅力で、変色や金属アレルギーのリスクが少ないなど、多くのメリットがある治療法です。
しかし、実際に治療を受けた方の中には「高い費用をかけたのに欠けてしまった」「周りの歯と色が合わなかった」という声も耳にします。セラミック治療はメリットの多い優れた選択肢である一方、注意点を理解しないと後悔につながってしまうことがあります。
当院でもセラミック治療をご希望される患者さまは多くいらっしゃいますが、その際にはメリットとリスクをしっかりとご説明し、納得いただいてから治療を進めています。この記事では、セラミック治療でよくあるトラブルと、その回避方法についてわかりやすくご紹介します。
よくあるトラブル

セラミック治療でよくあるトラブルと、その原因について知っておきましょう。
色が合わない・浮いて見える
セラミック治療で比較的多いのが「色の違和感」です。
歯科医院で見たときは自然に感じても、実際に装着して日常を過ごしてみると「白すぎる」「周囲の歯と合わない」と感じることがあります。
これはシェード(歯の色)確認が不十分だったり、光の種類(日光・蛍光灯など)による見え方の違いを考慮していなかったりすることが原因です。
当院では、高機能のデジタルカメラで正確に撮影して、色味を自由に合わせることができます
また、周囲の歯に自然に馴染むように、光の加減にも注意しながら、歯科医師・歯科衛生士・歯科技工士がしっかりと確認させていただきます。
納得のいく色味になるよう、患者様との打ち合わせも欠かせませんので、ご安心ください。
欠けたり割れたりする
セラミックは硬くて丈夫ですが、強い噛みしめや歯ぎしりのある方は割れてしまうことがあります。また、力のかかる奥歯に前歯向きの素材を使うなど、素材選びや設計が不適切な場合にも破折のリスクが高まります。
当院では、咬み合わせの力が強い方や歯ぎしりがある方には、セラミックの中でも強度の高いジルコニアをおすすめしたり、ナイトガードを併用したりしていただくことで破損リスクを減らす工夫をしています。
しみる・痛みが出る
セラミック治療後に「冷たいものがしみる」「噛むと違和感がある」と感じることがあります。これは歯を削る際に神経に近かった場合などに起こります。
多くは一時的な知覚過敏で落ち着きますが、まれに神経を取る処置が必要になることもあります。
当院では、しみたり、痛みが出たりする可能性がある時は、一時的に仮歯を装着するなどして経過をみる場合があります。できるだけ、セラミック治療後にしみたり痛んだりする症状が出ないように工夫しています。
二次的に虫歯ができる
セラミックは虫歯にはなりませんが、セラミックを装着している土台の歯は虫歯になることがあります。
セラミックはツルツルとしていて汚れが溜まりにくい素材ですが、根本の部分に汚れ(プラーク)が付着していると、その部分から虫歯(二次カリエス)が発生します。
虫歯になってしまうと、治療のためにセラミックを外す必要が出てきてしまいます。
当院では、セラミックを接着させる際、できる限りラバーダム防湿を使った完全防湿下で行っています。それにより、むし歯になりにくい接着状態をつくることができます。
また、セラミックを長持ちさせるためには、丁寧なセルフケアと、定期的なクリーニングで虫歯の再発を予防することが大切です。
歯ぐきの変色や境目の不自然さ
以前に金属を使った被せ物を入れていた方の中には、「歯ぐきが黒ずんできた」「境目が目立つ」といったお悩みを持つ方が少なくありません。これは金属イオンが歯ぐきに沈着することで起こる現象です。
こういった場合、セラミック治療をしただけでは、満足できる仕上がりにならないことがあります。
また、加齢や歯周病などで歯ぐきが下がると、被せ物との境目が露出し、セラミックと歯ぐきとの境目が不自然に見えてしまう場合もあります。
このようなケースでは、セラミックによるやり替えで金属の影響を取り除くだけでなく、必要に応じて根面被覆(歯ぐきが下がった部分を覆う処置)を行うことで、より自然な見た目を回復できることがあります。歯ぐきの位置や厚みを整えることで、境目が目立ちにくくなり、見た目がより美しくなります。
当院でも、被せ物のやり替えをご希望の方には、単にセラミックにするだけでなく、歯ぐきの状態や下がり具合も確認したうえで、必要に応じて根面被覆などの治療をご提案しています。
トラブルを防ぐためのポイント
せっかくセラミック治療をしたのですから、トラブル無く、長く使って欲しいと思います。セラミック治療でのトラブルを防ぐためのポイントをお伝えします。
適切な素材を選ぶ

セラミックにはいくつか種類があり、それぞれ特徴があります。
当院で取り扱っているものは次のとおりです。当院での費用も合わせて紹介します。
ハイブリッドクラウン:66,000円
セラミックとレジン(プラスチック)を混ぜた材料で作製しています。セラミックだけで作られた被せ物よりも審美性や耐久性に劣ります。
E.maxクラウン:132,000円
色味を精密に調整することも可能で、審美的に最も優れています。強い力がかかる部位では、割れてしまうリスクがあります。
ジルコニアモノリシッククラウン:143,000円
強度と耐久性に優れています。E.maxクラウンより審美性に劣りますが、丈夫です。奥歯やブリッジに適しています。
ジルコニアレイヤニングクラウン:165,000円〜
ジルコニアの被せ物に専用の陶材を盛り足して、見た目を良くしたものです。ジルコニアモノリシッククラウンより審美性が高く、前歯にも適しています。
当院では、部位や噛み合わせを考慮したうえで、患者様に合った素材をご提案しています。
丁寧な診療体制
セラミック治療の仕上がりは、歯科医師の形成や接着操作、技工士による製作精度に大きく左右されます。
当院では、日々の診療で培った技術で丁寧に対応させていただいております。また、信頼できる技工士との連携を大切にしていますのでご安心ください。
患者様のご希望を伺った上で、最適な治療法をご提案させていただきます。
事前のカウンセリングを重視
セラミック治療をご希望の方は、「こんな歯の色にしたい」「今より自然に見えるようにしたい」など、様々なご希望をお持ちのことだと思います。
そうした希望を治療前にしっかりと伝えることが、満足度につながります。
当院はトリートメントコーディネーターが在中している歯科医院です。トリートメントコーディネーター(TC)とは、日本歯科TC協会が実施している資格認定制度です。
トリートメントコーディネーターは歯科医師と患者様の間に立ち、患者様の要望をお聞きしながら、患者様にとってベストな治療方法をご提案していくことができます。
セラミック治療では、写真やシェードガイドを使いながら仕上がりをイメージできるようにしていますので、安心してご要望をお伝えいただくことができます。
定期的なメンテナンス
セラミックを長持ちさせるには、治療後のケアが欠かせません。
定期的にメンテナンスを受けることで、トラブルを早期に発見し、すぐに対処することができます。また専門的なクリーニングにより、2次虫歯や歯周病の原因になるプラークを徹底的に除去することができます。
当院では、治療後も3〜6か月ごとの定期検診をおすすめしています。
また歯ぎしりのある方にはナイトガードのご提案も行い、破折リスクを減らすよう努めています。
毎日のセルフケア
定期検診を受けていても、毎日のケアが不十分では、セラミックは長持ちしません。
歯ブラシに加えてフロスや歯間ブラシを併用することで、セラミックと歯の境目まで汚れを取り除くことができますので、利用するようにしましょう。
定期検診の際には、私達からセルフケアの方法をお伝えさせていただいていますので、毎日のケアの参考にしてください。
まとめ
セラミック治療は、見た目と機能性を兼ね備えた優れた治療法ですが、注意点を知らないまま受けるとトラブルが起こることもあります。
当院では、患者さま一人ひとりに合った治療法を提案し、治療後も長く快適に使っていただけるようサポートしています。セラミック治療をご検討の方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院の審美歯科治療(セラミック治療)についてはこちら
なぎ歯科クリニック大島 理事長 杉本義樹