見た目だけじゃない!子どもの矯正が将来の健康に与える影響とは?

お子さまの歯並びが気になる方の多くは、「見た目が気になるから矯正を考える」というものが多いです。
しかし、実は子どもの矯正には 見た目以上に「将来の健康」に関わる重要な意味があります。
歯並びの乱れは、むし歯や歯周病だけでなく、噛む・飲み込む・呼吸・姿勢・発音など、日常生活のさまざまな動作に影響します。
特に子どもは成長段階にあるため、歯並びに問題があるまま放置すると、大人になってからの健康リスクにつながることもあります。
今回は、子どもの矯正がなぜ良いのか、どんなメリットがあるのか、そして早めに相談したほうが良いサインについて、詳しくお伝えしていきます。
子どもの矯正は見た目のためだけじゃない?
子どもの矯正は、見た目だけでなく、全身の健康に関わる大きな役割があります。
また、大人の矯正とは目的も大きく異なってきますので、詳しく解説します。

歯並びと全身の健康のつながり
歯は「食べ物を噛むための道具」というだけでなく、姿勢・呼吸・筋肉のバランス・脳の発達にも密接に影響しています。
例えば、噛み合わせが悪いと以下のような影響が起こりやすくなります。
具体的に挙げていきます。
- しっかり噛めないことで食事の効率が悪くなる
- 片側だけで噛む癖がつき、筋肉のバランスが崩れる
- 顎が本来の位置で成長できず、顔つきに影響する
- 舌の位置が不安定になり、口呼吸につながる
- 体の軸がぶれ、姿勢が不安定になる など
さらに、口呼吸は 睡眠の質・集中力・免疫力 にまで影響するため、日中の学習や運動パフォーマンスにも関わってきます。
このように、歯並びは見た目だけでなく、子どもが健やかに育つための大切な土台となります。
子どもの時期に矯正をすすめられる理由
子どもの矯正(小児矯正)は、大人の矯正とは目的が異なります。
大人の場合は、「歯をきれいに並べる」ことが中心になりますが、子どもの場合は、「顎の成長を正しく導き、永久歯が正しい位置に生える環境を整える」ことが目的になります。
子どものうちは 骨が成長する力を利用して治療できる時期なので、以下のような治療が可能になります。
- 顎を広げて永久歯のスペースを確保
- 顎の位置のバランスを整える
- 将来、抜歯矯正になるリスクを減らす
- 成長を利用して顔つきのバランスを整える など
顎の骨の成長時期を逃してしまうと、大人になってから大掛かりな矯正治療が必要になる場合もあります。
ですから、子どものうちに早めに矯正相談をしていただくことで、治療方法の可能性が広がります。
歯並びが悪いと起こりやすい健康トラブル

歯並びが悪いと、見た目が悪くなるだけでなく、様々な健康トラブルが起こりやすくなります。トラブルを具体的に紹介します。
むし歯・歯周病になりやすくなる
歯並びが悪いと、どうしても汚れが溜まりやすくなります。
特にお子さまの場合には、磨いているつもりでも磨けていない部分が多く、むし歯が増えてしまう傾向があります。
また、小児期のむし歯は、永久歯の質に影響することもあり、長期的にも口腔環境が悪化する原因になります。
噛み合わせ不良による顎の成長への影響
成長期に噛み合わせが悪い状態を放置すると、骨格のアンバランスがそのまま固定されてしまうため注意が必要です。
顔貌に影響したり、発音に影響したりすることもあります。
食べ方・飲み込み方に癖が出る
歯並びの乱れは食べ方や飲み方のクセにもつながります。
「片側でしか噛まない」「前歯で噛み切れない」「噛む回数が少ない」などの問題が生じることがあります。
また、舌で前歯を押す「舌癖」があると、さらに歯並びが悪化する原因にもなります。
矯正治療の妨げにもなりますので、改善していく必要があります。
姿勢のゆがみ・頭痛の原因となることも
噛み合わせは、筋肉のバランスにも影響します。口周りの筋肉は全身の筋肉ともつながっており、全身のバランスに影響が出ることもあります。
例えば、噛みづらさがあると、体は無意識のうちにバランスを取ろうとして姿勢が崩れ、猫背・肩こり・頭痛につながることがあります。
子どもの慢性的な頭痛や集中力の低下が、噛み合わせに由来していることも珍しくありません。
発音やことばの発達へ影響
歯の位置は舌の動きと密接に関係しているため、歯並びが悪いと「サ行」「タ行」「ラ行」などが発音しにくくなることがあります。
学校生活やコミュニケーションにも関係するため、注意が必要です。
子どもの矯正で期待できる健康面のメリット

では、子どもの矯正を行うことで、健康面でどのようなメリットがあるのでしょうか。
具体的に解説します。
むし歯・歯周病リスクの軽減
歯並びが整うと、歯磨きの効率が格段に上がり、プラークが残りにくくなります。
これは、将来のむし歯予防や歯周病予防に直結します。
その後の人生でむし歯や歯周病のリスクが減るということは大きなメリットになります。
顎の成長を整えてバランスの良い顔立ちへ
矯正によって顎の位置やバランスを整えられるため、将来のバランスの良い顔立ちにつながります。将来の見た目の影響に、子どもの頃からアプローチできる方法の一つです。
鼻呼吸がしやすくなる
矯正治療によって舌の位置が安定すると、口呼吸が改善されやすくなります。
本来、人間は口呼吸ではなく鼻呼吸が正常な状態です。
鼻呼吸には次のようなメリットがあります。
- 風邪をひきにくくなる
- 集中力が上がる
- 睡眠の質が向上する など
食べ方・飲み込み方の改善
噛み合わせは、食事に影響します。歯並びを整えると「前歯で噛み切る」「奥歯ですりつぶす」という食べるための一連の動作がスムーズになり、栄養摂取の効率が高まります。
「うまく噛めない」など食べることへのストレスも少なくなります。
また、しっかり咀嚼できるため、胃腸への負担が少なくなります。胃腸の調子が整った状態を維持できるというのは、将来の健康に良い影響があるでしょう。
姿勢の安定と全身のバランス改善
噛み合わせが整うと、首や肩の筋肉が正しい位置で働きやすくなり、姿勢の改善につながります。これにより、頭痛や肩こりの予防となるケースもあります。
どんな場合に早めの矯正相談が必要?

以下の症状が当てはまる場合は、早めに矯正相談をすることをおすすめします。
- 前歯が噛み合わない(開咬・反対咬合)
- 上下の歯が左右どちらかにズレている(交叉咬合)
- 顎が小さく、永久歯が生えるスペースがない
- 指しゃぶり・舌癖・口呼吸が続いている
- 食事のときに噛みにくそうにしている
- 発音に気になるクセがある
- 口がぽかんと開いていることが多い など
これらは顎の成長時期を利用した子どもの矯正(小児矯正)によって、改善できることが多いです。早期の介入が効果的です。
まとめ
子どもの矯正は、単に“見た目をきれいにするための治療”ではありません。顎の成長、呼吸、姿勢、食べ方、発音、そして将来の健康にまで関わる、とても重要な治療です。
成長期は、矯正にとって最大のチャンスです。「少し気になるかも」「相談だけでもしてみたい」という段階でも構いません。
早めに相談することで、将来のお口と体の健康を大きく守ることにつながりますので、気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
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なぎ歯科クリニック大島 理事長 杉本義樹
