インプラントの骨造成とは?骨が足りない方も治療が可能に!
インプラントは、歯を失った場合に顎の骨に人工歯根を埋め込む治療法です。
インプラントを入れる場合には、インプラント体がしっかり埋め込めるだけの骨の量や厚みがあることが重要になります。
骨が足りているかどうかは、術前のCT検査で調べます。検査の結果、骨の量が足りない場合には、そのままではインプラント治療をすることができません。
そこで有効なのが「骨造成」という方法です。
今回は、当院でも行なっている「骨造成」について詳しく解説していきます。
インプラント治療で行う骨造成とは
骨造成は、骨を増やすために行う手術の総称です。
インプラントを埋め込む際は、顎の骨の高さ厚みが一定以上必要です。
骨が不足したままインプラントを行うと、上顎においては上顎洞にインプラントが突き抜ける可能性がありますし、他の部位においても「インプラントが安定しない」「インプラントが歯肉から露出してしまう」などのリスクが考えられます。
インプラント治療を行う場合は、事前に検査を行い、骨の形態を精密に把握します。
検査で、骨量不足と診断された患者様でも、骨造成手術を行うことでインプラント治療が可能になります。
骨が不足する原因
では、そもそも骨が不足する原因とはなんでしょうか。
骨が不足する原因は次の通りです。このような患者様は、そのままではインプラント治療を行うことができない可能性がありますので、必要に応じて骨造成を行います。
歯が抜けたまま長期間放置していた
歯が抜けたまま、何もせずに放置していると、噛んだ時に刺激が顎の骨に伝わらないため、骨は次第に痩せていきます。
インプラントを希望している方で、すぐにインプラント治療ができない場合には、長期間歯が抜けたままにならないよう、相談して治療計画を立てていきましょう。
歯周病が進行して骨の量が少なくなった
歯周病は、歯を支える組織を破壊する病気です。進行すると、歯を支えている歯槽骨は徐々に溶かされていきます。
溶かされた骨は自然には戻りませんので、骨造成が必要になります。
ただし、歯周病がある場合には、そのままの状態でインプラントを行なっても、歯周病菌によって「インプラント周囲炎」を発症リスクが高くなります。
歯周病の治療をしっかり行なった上で、骨造成を行い、インプラント治療を行うことをお勧めします。
先天的に骨が薄い
もともと骨が薄い場合もあります。骨のつくりは個人差が大きいため、もともと骨に厚みが無い方、骨の量が少ない方がいます。
骨の高さや幅などが全体的に少ない場合には、骨造成が難しいケースもあります。
事前の検査と診断で、骨造成が可能かどうかを判断し、インプラント治療を行なっていきます。
骨造成の種類
骨造成は、治療部位や状態によって施術方法が異なります。
代表的な3つの骨造成術を紹介します。
GBR法
骨の厚みや高さが足りない部位の骨を増やす施術法です。どの部位のインプラント治療にも用いられます。骨が足りない部分に骨補填材を入れ、メンブレン膜で覆い、骨の再生を待ちます。
GBR法で骨造成が完了してから別途インプラント手術を行う場合と、同時にインプラント埋入手術を行うことができる場合があります。
GBR法を行なった後は、骨造成が完了するまで4ヶ月〜6ヶ月程度の期間を要します。インプラント体の埋入を同時に行なった場合には、半年以上、骨との結合を待つ必要があります。
サイナスリフト
サイナスリフトは、上顎の骨の高さが不足している場合に行われる術式です。骨の厚みが8mm未満の場合や、多くの骨を補う必要がある場合に行われます。
上顎洞の横の歯ぐきを切開して上顎洞を露出させ、上顎洞を直接上に持ち上げ、持ち上げたスペースに骨補填材を入れる方法です。
骨補填材を入れた後は、一度閉じて、移植骨が安定するのを待ちます。骨が十分にできるまで約半年程度が必要です。インプラントの手術はその後で行います。
骨の不足量が多い場合でもインプラント治療が可能になる優れた方法ですが、トータルの治療期間が長くなります。
ソケットリフト
ソケットリフトは、サイナスリフト同様に上顎の骨の高さが不足している場合の術式です。骨の厚みはある程度あり、骨の不足量が比較的少ない場合に適用されます。
ソケットリフトは、同時にインプラント埋入も行われます。
歯の生えていた部位に穴を開けて(抜歯をした場合はその穴)、移植骨を入れながら少しずつシュナイダー膜(上顎洞粘膜)を押し上げ、インプラントを埋入できるだけの骨の厚みを確保していき、インプラントを埋め込みます。
骨造成が完了して、インプラント体か結合するまで3ヶ月〜4ヶ月の期間が必要です。
インプラント手術と同時に行うことができるので、患者様の負担が少なくて済みます。
骨造成は痛みがあるの?
手術は麻酔をして行われるので、術中の痛みはありません。
ただし歯ぐきを切開するなどの処置をするため、術後麻酔が切れてから痛みが出ることがあります。痛み止めを飲むなどして対応するようにしましょう。
術後の腫れや痛みは2〜3日がピークです。1週間以上経っても痛みが治まらない場合は、感染症などのリスクが考えられますので、早めに受診をするようにしてください。
骨造成の費用
骨造成の費用は、インプラント治療の費用と同様に保険が適用にならないため、自費治療になります。
当院での料金は次の通りです。
・GBR法 55,000〜330,000円 ※骨補填剤の量により費用が異なります
・ソケットリフト 110,000円
・サイナスリフト 330,000円
骨造成の必要かどうか、またどのような骨造成が必要になるかは、CT撮影などの術前検査をしてからわかります。
検査・診断をした上で、インプラント治療に関わるトータル費用を合わせて詳しく説明させていただきます。
骨の量が足りていないという理由で、インプラント治療を諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。
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なぎ歯科クリニック大島 院長 杉本義樹