セラミックの被せ物とCAD/CAM冠の違いは?
「口元をきれいに見せたい」という患者様が増えています。
そのため、被せ物の治療をする時に、白い歯を希望する方が増えています。
以前は、保険適用では前歯を除いて「銀歯」の選択肢しかありませんでしたが、現在では保険適用でCAD/CAM冠という種類の白い被せ物を入れられるようになりました。
歯科医院で取り扱っている白い被せ物には、自費治療のセラミックの被せ物と保険適用のCAD/CAM冠があります。
見た目が良い被せ物というと、セラミックの被せ物が広く知られています。
セラミックの被せ物とCAD/CAM冠では、どのような違いがあるのでしょうか。
今回は、セラミックの被せ物とCAD/CAM冠の違いについて詳しく解説します。
セラミックの被せ物とは
セラミックの被せ物は、素材がセラミックでできた被せ物で、見た目が良いのが特徴です。
天然歯のような透明感とツヤがあり、自然な白い美しさを再現できます。色味は多くの中から選択することができ、周囲の歯と精密に合わせることも可能です。
審美性が非常に優れており、天然歯との見分けがつかないほどです。
また、耐久性や機能性も優れており、経年による劣化がほとんどありません。被せ物と歯質の間に隙間もできにくく、二次虫歯のリスクも少ないので、歯の健康を保つのにも最適です。
セラミックの被せ物には、いくつかの種類があります。
審美性・耐久性など重視するものに応じて選択することができます。
CAD/CAM冠とは
CAD/CAM冠は、ハイブリッドセラミックというプラスチックとセラミックを混ぜたブロックを削り出して作る被せ物です。コンピューターシステムによって設計、作製を行います。
2024年6月から保険適用の範囲が広がり、ほぼ全ての歯で適用が可能になっています。
ただし大臼歯の利用には、噛み合わせの状況などの細かい適用条件があります。
審美性や耐久性は、セラミックに劣ります。プラスチックが多く含まれているので、長期の使用ではすり減ったりする可能性があります。また劣化による変色や破損のリスクもあります。
セラミックの被せ物とCAD/CAM冠の比較
セラミックの被せ物と保険適用のCAD/CAM冠は、「白い被せ物」という点では一緒ですが、その特性は大きく異なります。
様々な観点から比較してみていきましょう。
見た目の違い
セラミックの被せ物は、CAD/CAM冠と比較して圧倒的に見た目が良いです。
天然歯のような透明感とツヤを再現することができ、色調も周囲の歯を合わせたり、1段階白くするなど、希望に沿ったものにすることができます。
CAD/CAM冠はプラスチックが混ざった材料なので、どうしてものっぺりした質感になります。色調は決められた中から選ぶので、周囲の歯の色に合わせることが難しい場合もあります。
耐久性の違い
セラミックの被せ物は、耐久性があります。経年による劣化もほとんどありません。
ただし、割れてしまうリスクはゼロではありません。急激に強い力が加わったり、持続的に強い力がかかっていると割れてしまうリスクがあります。
ただしそれらも、より耐久性の高いジルコニアを選択することで解決することができます。
一方で、CAD/CAM冠はプラスチックが多く含まれているので、経年劣化があり、耐久性は乏しいです。長期間の利用ですり減ったり、破損することがあります。また、強い力が加わると割れてしまうことがあります。
二次虫歯のリスクの違い
二次虫歯は、一度治療をした歯が二次的に虫歯になってしまうことを指します。
セラミックの被せ物は被せ物と歯質との間に隙間ができにくいため、そこから二次虫歯になるリスクが少なくなります。
一方で、CAD/CAM冠はプラスチックが多く含まれており、水分を吸収する性質があるので、経年劣化により変形を起こし、被せ物と歯質との間に隙間ができやすくなります。
そこに汚れが溜まると、二次虫歯は発生してしまうリスクが高くなります。
対象となる歯の違い
セラミックの被せ物は基本的に全ての歯に適応できますが、CAD/CAM冠は制限があります。
CAD/CAM冠の条件は、2024年6月から変更があり、対象となる歯が増えていますが、第二大臼歯(7番目の歯)や親知らずに適応するには条件があります。また、噛み合わせの状態によっては適用できないことがあります。※金属アレルギーがある場合は、条件が緩和されます。
また、セラミックの場合は、ブリッジに対応が可能です。
ブリッジは、歯を失った場合に両隣の歯を支えにして橋渡しのような形で被せ物を入れる方法です。ご自身の歯2本で3本分の被せ物を入れる形になります。CAD \CAM冠ではブリッジはできませんが、セラミックは可能です。
ブリッジの場合は、セラミックの中でも耐久性の高いジルコニアを使用することが多いです。
費用の違い
セラミックの被せ物は自費治療になるのに対して、CAD/CAM冠は保険が適用になります。
セラミックの被せ物の費用の相場は、一般的に8万円〜18万円程度です。
CAD/CAM冠は、保険適用の3割負担の場合で、6,000円前後になります。
CAD/CAM冠が安価で治療ができるものだということがわかります。
参考までに当院のセラミックの被せ物の費用を紹介します。
当院のセラミック治療の費用
セラミックの種類 | 費用(1本あたり) |
ハイブリッドクラウン | 66,000円 |
E.maxクラウン | 132,000円 |
ジルコニアモノリシッククラウン | 143,000円 |
ジルコニアレイヤニングクラウン | 165,000円〜 |
ハイブリッドクラウンは、CAD/CAM冠のようにプラスチックが含まれた素材のため安価になっています。保険のCAD/CAM冠では適応できない部位にも対応できますが、審美性や耐久性があるのは、E.maxクラウン、ジルコニアモノリシッククラウン、ジルコニアレイヤニングクラウンになります。
どちらを選ぶべき?
審美性・耐久性・二次虫歯のなりやすさを考えると、セラミックの被せ物の方が優れています。
費用を考えなければ、セラミックの被せ物がおすすめです。
CAD/CAM冠は保険適用のため、安価で治療ができるというメリットがあります。
トータルでみると、セラミックの被せ物の方が、メリットの多い治療ですが、高額になるため、予算なども踏まえて選択するのが良いでしょう。
お口の中でいくつも治療が必要な部位がある場合には、セラミックの被せ物をしたい部位、保険適用内で治療を済ませたい部位などを考える必要があるでしょう。
予算の中で、出来るだけより良い治療ができるように、相談にのらせていただきます。
まとめ
セラミックの被せ物とCAD/CAM冠は「白い被せ物」という点では一緒ですが、素材は全く違うものになります。
費用面を考えなえれば、セラミック治療の方が優れた治療だと言えるでしょう。
しかし治療をしっかりと済ませることが、まずは大事です。予算がある場合には、予算内でしっかりと治療をするのが望ましいです。
CAD/CAM冠で治療をした歯を、後々セラミックの被せ物に変えることもできます。(ただし土台の歯の形を整え直す必要があります。)被せ物の種類に迷っている場合はご相談ください。
当院では、患者様の希望を伺いながら治療計画を立てていきます。
セラミックの被せ物に興味がある場合は、歯科医師やスタッフにお声をおかけください。
当院のセラミック治療についてはこちら
なぎ歯科クリニック大島 院長 杉本義樹